3/19鼠経ヘルニアの手術

昨日の夜に、妹から連絡あり。

手術は、腹腔鏡手術だと6月まで待たないといけない。それでもキャンセル待ちで、4/19、それがダメなら4/26になる予定。

痛いんだから、早めにやってもらいたい…しかも腹腔鏡手術で…

他の病院も同じなのかな?早めにやってくれるところはないのかな?

とは言っても、せっかく転院したんだから、おとなしく、やってもらうしかない。

またお参りに行かないと!

 

鼠経ヘルニアの手術

 

鼠経ヘルニアの手術の術式には、大きく分けて前方アプローチ法(従来から行われている、皮膚側から手術を行う方法)と、腹腔鏡法(腹腔鏡を用いて行う方法)の2種類があります。

どちらの術式にも、メッシュという人工の補強膜を用いる方法(以下、メッシュ法*)と用いない方法(以下、組織縫合法)があります。成人鼠径ヘルニアの手術の場合は、メッシュ法が主流になっています。

*メッシュ法はさらに細かくLichtenstein法、Plug法、Bilayer法、TIPP法、Kugel法などに分類されますが、今回はすべてをメッシュ法として一括りにしています。

成人鼠径ヘルニアの手術でメッシュ法が主流な理由は、組織縫合法と比較して再発リスクが低いためです。鼠径部ヘルニア診療ガイドラインにも、「成人鼠径部ヘルニアに対して、原則的には組織縫合法は推奨できない」ということが明示されています。

ただし、メッシュは感染しやすく、嵌頓(かんとん)*などによって腸が壊死している場合にはメッシュ法が適応できません。このような場合には、組織縫合法を行うことがあります。

*飛び出した腸がヘルニア門(内容物が飛び出す出口)にはまりこんで締め付けられ、元に戻らなくなった状態

 

前方アプローチ法

前方アプローチ法とは、前方から鼠径部の皮膚を5cmほど切開して、そこから手術する方法です。組織縫合法では、筋膜などの生体組織を縫い合わせて脆くなった部分を閉鎖します。メッシュ法の場合は、筋膜・筋肉の上あるいは腹膜の上にメッシュを置いて、筋膜の脆弱部を補強します。

 

腹腔鏡法

腹腔鏡法(腹腔鏡下手術)は、腹部に3か所の小さな穴(7mm程度の穴を2か所、15mm程度の穴を1か所)を空けて手術する方法です。3つのうち1つの穴から腹腔鏡(カメラ)を挿入して、お腹の中の様子をモニターに映し出します。そして炭酸ガスをお腹の中に注入して腹部を膨らませ(気腹操作)、モニターの画像を見ながら鉗子(かんし)と呼ばれるマジックハンドのような器具(下図参照)を使って手術を行います。

腹腔鏡法も、メッシュを使用します。

 

前方アプローチ法と腹腔鏡法では、傷の位置や大きさ・術後の痛み・術後の神経障害・手術時間などの点が異なりますが、最大の違いは、腹腔鏡法では隠れたヘルニアを見つけだすことができる点にあります。腹腔鏡法ではお腹の中から直接骨盤の壁を観察できるので、前方アプローチ法で外から見るだけでは発見しにくいような小さなヘルニアや、見にくい箇所にできたヘルニアも一目瞭然です。

腹腔鏡法ではこの特性を利用して、前方アプローチ法で挿入したメッシュの位置ずれが原因で起こったヘルニアの位置確認および治療も可能です。

ただし、全身状態が悪いケース、腹腔内に高度の癒着が想定されるケースなどでは、腹腔鏡法だとかえって時間がかかったり、危険性が高まったりすることがあります。そのようなときは、前方アプローチ法で治療を行います。

 

術後の合併症

  1. 出血・血腫・水腫
  2. 創感染(まれ)
  3. 疼痛(術後の痛み)
  4. 精管、血管、神経損傷
  5. 再発・対側発症(大きなヘルニアを手術した場合や鼠径部の筋肉全体が弱くなっている場合、再発のリスクが高まる)

神経損傷や慢性疼痛は比較的重大な合併症ですが、腹腔鏡法の場合は前方アプローチ法に比べてほとんどの合併症の発生頻度が低い傾向にあり、術後の回復も早いことがわかっていますが、再発率は同等です。

 

本人は、食欲が出てきた様子。

午前、午後、リハビリ、マグネシウムの点滴、自己導尿の毎日。